[製品紹介


WorkPad用手書きメモパッド「Decrio」で遊ぶ [99/11/17]

 武藤工業日本アイ・ビー・エムのWorkPad用携帯電子メモパッド「Decrio(デクリオ)」(価格24,800円)は12月初旬から出荷予定だが,発売前に試作機を借りて使用することができた。もちろん,試作機は試作機であるため,製品とは異なっている場合もあると思う。また,高々2週間程度使っただけなので,機能の見落としや勘違いもないとはいえないかもしれない。簡単な機能ではあるが,マニュアルがたないために,ものすごく簡単なことに気づかずに大変苦労したということもある(それは,Decrioの責任ではなく,筆者の問題だが)。

 使ってみた正直な感想は,意外にきちんとしていてきっちりビジネスで使えるなあ,というものだった。ただ,さらに正直に言うならば,私は手書きには戻れない,ということも再確認してしまった。漢字などはもう手書きでは書けないし,1枚目はいいとして,段々筆写が疲れてくるのだ。ただ,ほとんどのWorkPadユーザーがちょっとしたメモの備忘録を残したり,立ちながらちょっとメモを取る場合などには,大いなる威力を発揮すると感じた。

Decrioとは

「Decrio」は,黒いケースの中に紙製のメモ帳が置かれ,付属のペンを使って紙に手書きしていくと,ほぼ同時にWorkPadのディスプレイに手書きした文字が転送され表示される。ちょうど,日本IBMが発売している「クロスパッド」には,ディスプレイがないが,そのディスプレイをWorkPadが行っているような感じだ。WorkPadで面倒な文字入力を紙に書きながら確認できると考えてもいい。細かな仕様や原理などは他のWebページをご覧いただくとして,ここでは実際の使い勝手を紹介していく。

これが全体のセット。右で書いたメモは,メモパッドのセンサによってケーブルを通ってWorkPad上部から赤外線で通信される。ユーザーは,特に使用する場合に注意することはない。ただし,WorkPadは付属していない。ボールペンのキャップをお尻につければ,スタイラスとして利用することができる。ボールペン用の替え芯や携帯電話用の収納袋,名刺フォルダなどが見える。上部の赤外線を介してデータは自動的にWorkPadで表示される スケルトンモデルでは,メモパッドに内蔵したセンサーグリッドがよくわかる。単4電池2本で3,4ヶ月の使用が可能だという。スケルトンモデルの可能性を聞いてみたが,コストと強度的に無理があるということだ。ケースをビニールにすれば,また違った魅力があるような気がしないでもないのだが。なお,これは試作機のため,ケースの上部のファスナーが左の鞄のように直線になっていない

実際に入力してみた。B6相当というのは,やや大きさ的に中途半端かもしれない。議事録を取ることができる最小の大きさを選択したということだ。WorkPad側では,全体を見ることができる1×,ある程度文字がわかる2×,ほぼ等倍の4×での表示が可能 汚い文字で申し訳ない。筆者が実際にDecrioの発表会で使用したメモだ。たまに縦の線が認識されない場合があるが,これは筆者の書き方の問題かもしれない

Decrioに付属している標準のB6相当のメモパッドでは,「Decrio for WorkPad」のロゴがメモパッドに入ることになる。アメリカなどでよく売られているメモパッドだが,日本での入手は伊東屋とか東急ハンズなどでないと多少難しいかもしれない スケルトンモデルの赤外線インターフェイス。デジタイズした情報は,線で繋がった赤外線インターフェイスからWorkPadに赤外線で送られる。書いていると本当になんの不思議もなくWorkPadに文字が表示されていくのが逆にとても不思議。写真は試作機のため,鞄の上部の形状が異なっている

デジタルペンを分解してみた。AAAA電池というやや特殊な電池を利用している。デジタルペンでは,フェライコアコイルによって電磁波が照射される。それがセンサグリッドで関知されWorkPadまでデータが経由される。デジタルペンは,キャップをお尻につければスタイラスが飛び出し,スタイラスとして利用することができる 実際のセンサグリッド。基盤の上にはプラスチックカバーが被い,底にはシールド材が配置されている。センサグリッド制御部から得た信号は,座標値を検出され,アナログデジタル変換され,プロセッサを介して座標値が決定される。武藤工業といえば,高額なCADシステムや設計製図機器といった印象があるが,CrossPadの開発元でもあるように,今後は一般的な周辺機器にも力を入れていくようだ

同じくスケルトンモデルの乾電池フォルダ付近。単4電池2本で3〜4ヶ月もつという。最初は,どうやって電源を入れたらいのかわからずにかなり困った。Decrioにはスイッチやボタンの類がまったくないからだ。正解は,特にスイッチは必要とせず,WorkPadでEmemoなど専用ソフトのElinkチェックボックスをチェックすると開始する 実際のWorkPadでは,こういったマジックテープで貼り付けて固定することになる。立ちながら利用することがなければここまでしなくても大丈夫だろう。写真をよく見ればわかるように,どう見ても乾電池用の蓋を閉じてしまう

筆者が実際に使ってみたセット。モデムは,I-O DATAのもの。ちょうどモデムをセットしても鞄に収納できる大きさだ。WorkPad c3用のモデムを持っていないため,WorkPadを利用した。これだけのものが鞄に収納されるが,鞄自体はやや大きいような気がしないでもない(写真の鞄は試作機) こちらは,WorkPad c3のセット例。標準で付属している蓋を鞄のポケットに挟み込んで落ちないようにしている。また,ケースを見せるためにわざわざWorkPad c3をひっくり返して隣に置いている。これだったら立ちながらの利用も可能。その分WorkPad c3のケースは左のようなハードケースを別に用意した。IBMの社員のとある方の使用例を見てマネしたもの

実際の使い方

 まず,ソフトウェアをインストールする必要がある。借りたのが試作機なため,実際の例とは異なっている可能性があるが,手順に従ってインストールすると,Windowsマシンでデータを見るためのEcriNote(Ecritek社製)が,インストールされる。また,EAddress,EDateBook,EMemo,EToDoというそれぞれのアドレス,デートブック,メモ,ToDo置き換えるソフトがインストールされる。インストールは通常のソフトウェアをインストールする手順で,PC側からWorkPadにインストールする。同様に,フリーウェア・シェアウェアが付属しているので,好みのメーラやWebブラウザをインストールする。ここでは,Decrioと親和性の高いメーラのMultiMailをインストールしている。これは,アメリカでは定番ソフトといえるほどの人気を誇っているメーラらしいが,日本語の場合,受信時に文字化けするといったことで日本ではあまり使用されていなかった。もちろん,きちんと日本語化され,初期5,000ロットではきちんとドーネーションの支払いの終わった製品が同梱されている。

アドレス,メモ帳,予定表,ToDoに置き換わるソフトウェアとして,EAddress,EDateBook,EMemo,EToDoをインストールする。また,同様にここでは,メーラのMultiMailをインストールした。メニューからタップすればソフトウェアが起動するのはPalmデバイスの他の製品と同様 ここでは,EMemoをタップした。Decrioで表示させるためには,WorkPadをDecrioの所定の位置に置いた後で,このElinkをタップしてチェックすればいい。ここで,いきなりDecrioの紙製のメモパッドに書き始めるだけで,WorkPadにもデータが表示される。ちょっと感動する

EAddressの画面。筆者が実際に使っているデータのためモザイクだらけで申し訳ない。基本的な機能はWorkPadに付属しているアドレスと同様。左端にシンクロナイズするときにタップすると黒い丸がチェックされるボタンと,右端にDecrioのデータがあると書類の中にiの文字があるアイコンが表示されるのが最大の違いか ここでは,地図を描いてみた。アドレスに地図があれば便利だろう。ちょっとした手書きでも十分記憶の助けになる

AToDoの画面。同様に画像を描画することができる。ここでチェックボックスをチェックしておくと,次回シンクロナイズした場合に,データをがPC側に移動し,EcriNote上で見ることができるようになる。WorkPad版Palm DeskTopから直接リンクされているとさらに使いやすくなるだろうが,そこまでの機能はない EDateBookの画面。メモや地図をリンクできるというのは,考えてみるととても便利。ただし,Palmでは,たくさんの標準のアドレスブックや予定表,メモ帳,ToDoの置き換えソフトを使っているユーザーも多いと思うので,本当は専用ソフトからだけリンクできるのではなく,そういったソフトウェアからデータを見ることができる方が便利だとは思う。大変だろうけれど

手書きした文字をそのままWorkPadからメールで送付する

 Decrioでは,初期ロット5,000本だけのようだがドーネーション済みで日本語化されたMultiMailが付属している。MultiMailはとてもよくできたメーラで,簡単にメールのやりとりが可能だ。すばらしいのは,Decrioを使って手書きしたところから,簡単にメールを呼び出し,添付ファイルとしてDecrioのデータをメールで送信することができることだろう。使い勝手はとてもよく,とても別々の独立したソフトウェアとは思えないほどだ。

手書きが終わったら,画面右上Emailの右側,Elinkの下側,何もない空間をタップする。すると画面のように「EDF」「GIF」を選択するメニューが現れる。相手側がDecrioを持っている場合はベクターデータのEDFの方がきれいに見ることができるだろうし,持っているかどうかわからない場合,GIFに変換して送信することになる EDFでよければ,画面左下の「終了」ボタンをタップする。「画面データをEDFデータとして添付しますか?」と聞いてくるので「OK」ボタンをタップする

なお,相手側がEDFファイルを開けるかどうかわからない場合などは,GIFを選ぶ。GIFへの変換は時間がかかる。おおよそ30秒ほど待つ必要がある。これはデータ量に変わらず一定のようだ。長いといえば長い待ち時間かもしれない MultiMailが立ち上がる。すでに,クリップのアイコンが表示されていてデータが添付されていることがわかる。「To:」をタップすると「アドレス」からメールアドレスを抜き出してきてくれる

筆者が実際に使っているデータのためモザイクばかりで申し訳ない。ここでは山田道夫氏にメールを出すためにタップする アドレスが書き込まれたので,タイトルや文章を書いて「ただちに送信」ボタンをタップする。もちろん,先にMultiMailの「オプション」メニューから「サーバ...」を選択し「メールサーバ」やサーバの種類,ユーザー名(メールアドレス),パスワードなどを設定しておく必要がある。同様に,「オプション」「ネットワーク」メニューから,環境設定を行っておく必要がある。ここで実際に電話するプロバイダの電話番号を設定する。もちろん,複数のプロバイダを設定することができる

すぐに電話をかけ始める。もちろん,携帯電話を使用している場合はネゴシエーションに時間がかかる(30秒くらい?)。PHSや固定電話回線などさまざまな回線が利用できるだろう 実際に送信中の画面。GIFでも意外に速く送ることができる。EDFの方がやや時間がかかる気がしないでもない。筆者が借りていたDecrioのβ版ソフトでは,なぜかEDFファイルの添付メールを送信すると途中でハングアップして送信できなかったが,後で借りたβ版では,そういった不具合はなくなったので,製品版ではもちろん大丈夫だろう。これだけでもう送信完了だ。とても簡単。ちょっと思いついたら自分のPCへメールしておいてもいいかもしれない

こんな風に見えます

これは,実際に筆者がDecrioの発表会場で取っていたメモ(すでにこの時は借りることができていたのだ)。WorkPadでは2倍にしてある。なんとなく文字を読むことができるというのが2倍だ。ただし,全体はわからなくなる 同じく2倍のWorkPad画面。ただし,通常は等倍になっていて,2倍や4倍にしても,新たに書き出すと等倍に戻ってしまうのはちょっと面倒に感じる。できれば,指定した倍率で表示を続けてほしいものだ

4倍で表示した。これが実際の手書き文字の大きさだろう。もちろん,文字も絵や図形もわずかな取りこぼしを除けば手書きと同様 こちらは等倍で表示している。全体の構図がわかる。また,大きな文字や記号,図形などもわかる

GIFに変換した場合

実際に手書き入力したモノをGIFにコンバートしたそのもの。やけに手書き文字が汚いが,これは生来の筆者の文字入力の汚さが立って書いたことでさらに一段と際だったため。いや,本当に人前に出せるような文字ではないな 同じくサンプルとして,思いつきでDecrioのメリットとデメリットを入力してみた。漢字をいかに最近書いていないかを身にしみて知った

同じくデメリットの考察。取りあえず紙に書くのとまったく同様のこと(というかそのもの)をすれば,そのデータがWorkPadにそして,PCに残るというのはとても便利だ 今後の課題を書いてみた。テキスト化は当分無理だろうし,同様にWorkPadのすべてのソフトから使えるともっと便利なのだろうけれど。また,PC側のソフトウェアの使い勝手は,今少しの向上を期待したい

PC用のソフトウェアなど

「EDF Viewer」でEDFファイルのままPCで表示してみた。フリーウェアとして,IBMなどから入手できるようになるということだ。非常にシンプルなソフトウェアである 「EcriNote」を使ってPC上でデータを表示してみた。3枚のメモがあることがわかる。これは線の太さが2ドットの場合。ユーザーのフォルダを指定し,見るファイルをクリックして選択する必要がある。ユーザーフォルダを指定する必要があることに気づかず,なぜファイルが転送されないのだろうと長い間疑問に感じていたのはヒミツ(マニュアルなしでの試行錯誤のためで,実際にはすぐ気づくはずだ)

線の太さを1ドットにしてみた。ベクターデータなのでこういった操作は簡単 同じく線の太さを3ドットにしてみた。かすれなどの状況で選択すればいい

[ニュースリリース] 武藤工業 携帯電子メモパッド「Decrio」を発表
http://www.ibmlink.japan.ibm.co.jp/cgi-bin/PREScgiDep.pl?docid=PRES1427&caps=N&perc=90

・日本アイ・ビー・エム
http://www.ibm.co.jp/

・武藤工業
http://www.mutoh.co.jp/

 2週間以上使っていますが,WorkPadの周辺機器としてとても秀逸だと思います。WorkPadでも苦手なことはたくさんあるけれど,ちょっとでもメモを残しておけば思い出したり,加工したりできる場合も多いと思います。そういった意味では,手書きを同時にWorkPadでもデータとして持つことができるといのはとても便利だと思います。また,MultiMailとの連携もとても魅力的です。その場で手書きして,ほとんどワンタッチ,ツータッチで添付ファイルとして送信することができるのですから。また,MultiMailのメーラとしての機能もとても高いといえます。非常に使いやすいメーラが日本語化された喜びも大きいと思います。

 ただ,手書きはやはり疲れます。いかにPCに馴らされているかを痛感してしまいました。漢字なども忘れていますし。やはり,WorkPadを日常的に使用しているユーザーが,ちょっとしたメモとか備忘録として利用するというのが正しい姿なのかもしれません。そうすると逆に,この大きさを考えると,ケースから取りだして,WorkPadをセットして(普通はポケットやもっと小型のケースに入れていて,Decrioでデジタイズする時だけWorkPadをケースに置くという使い方が一般的ではないでしょうか。普通は2個持っていたりしませんしね),という作業がほんの少しだけめんどくさく感じられるかもしれません。しかし,Elinkをクリックしてしまえば,手書きをそのままデジタイズしてしまうというのは感動モノです。やりとりも自然だし,ユーザーインターフェイスとして,多少こなれていないかなと感じるところもないわけではないですが,感覚的にわかってしまうので欠点というほどではないでしょう。

 WorkPadでメモを取る機会が多いユーザー,そして,モデムを使ってメールのやりとりをしたいユーザーにはお勧めです。とても優れた周辺機器(という言い方は好まない方も多いかもしれませんが)だと思います。


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